塗装ブースは、大きく分けて乾式と湿式の2種類に分類されます。ここでは、低コストで導入が比較的容易な乾式塗装ブースについて解説します。
乾式塗装ブースは、余剰塗料を吸い込み、フィルターに吸着させて回収する装置のことを指します。比較的安価に導入できることが特徴で、メンテナンスはフィルターの交換だけで済むという手軽さもあります。フィルターには紙や不織布が使われており、フィルターのコストも比較的安く済むことも見逃せないポイント。
前述のように、乾式塗装ブースは導入費用、メンテナンスともにコストが安いことが大きなメリットとして挙げられます。湿式に比べると設備がコンパクトなため、設置場所にあまり悩まなくて済むことも特徴のひとつ。
安価、コンパクト、メンテナンスが簡単という特徴をまとめると、湿式に比べて簡易的な設備だと言えます。
一方、湿式に比べると余剰塗料を回収する性能が高くない点を考慮しなければなりません。外部へ塗料が飛散する可能性があり、フィルターのコンディションによって吸引力が低下することも。周囲への環境を考慮して、住宅がまわりにない場合などに使用するほうがよいでしょう。
このサイトでは他にも対応している業界や部品に合わせて、塗装ブースを取り扱う会社を紹介しています。ぜひ導入時に役立ててください。
各業界や部品に対応する
中小工場におすすめな
塗装ブースメーカー3選
大手自動車メーカーから板金工場まで、自動車業界での実績が豊富なパーカーエンジニアリング。豊富な仕様の規格品はもちろん、オーダーメイドにも対応。アフターメンテナンスやコンサルティングも行っています。
高い排気性能と除塵機能を兼ね備えた、アレスターブースの標準モデルです。製品のサイズや用途に応じたカスタマイズが可能で、塗装条件や塗料に適したフィルターを選択できます。
フィルターの目詰まりを抑えるため、標準でプレロールフィルターを搭載。さらに、耐久性に優れたZAM材を使用し、長期間の使用にも対応しています。
サイズや機能が標準化された大型車両や自動車用の塗装ブースを提供しているアイペック。その技術を応用して、航空機部品などの工業系の塗装設備についても高品質・低コストの塗装ブースを提供しています。
アイベック社の国産自動車用塗装ブース「マックスコンバート・アドバンス」は、標準タイプに加え、幅・長さ・天井高にゆとりを持たせたワイドタイプも選べます。
4枚扉の広い開口部により、さまざまな車種の搬入がスムーズに行え、作業効率の向上に貢献します。また、風量7.5kWのシロッコファンを採用し、高カロリーの燃焼室バーナーと組み合わせることで、燃焼効率を高めながら乾燥時間を短縮します。
大正時代から塗装機器や空気圧縮機をつくり続けている企業です。スプレーガンや多関節電動塗装ロボットなどの製品を開発している、優れた技術を有しています。
水を使用せず、塗料ミストを直接フィルターに当てて捕集するバッフルブース。フィルターは2段構造で、1次フィルターには特許取得済みの新型バッフル板を採用し、塗料ミストの大部分を効率的に捕集します。
さらに、バッフル板の表面には特殊加工を施し、捕集性能を向上。2次フィルターでは、1次フィルターで捕集しきれなかった塗料ミストを効果的にろ過します。
高品質塗装を実現するための先進機器を製造している企業です。冷房・加湿といった空調機器、ロボット塗装などを手がけています。自動車用塗装設備、工業用塗装設備の両方で高い評価を得ています。
アンデックスの塗装ブース「CAB-H2」は、前面(側面の小さな面積)から給気する方式を採用。この構造により、同クラスの室内容積を持つ従来の上下流ブースと比較して、必要風量を約1/3に削減し、使用エネルギーも約1/2に抑えることが可能になりました。
また、有機溶剤中毒予防規則の必要風速基準を満たしつつ、光熱費を大幅に削減できる、環境負荷の少ない設計となっています。
設立から一貫して自動車や家電メーカーの製造工程における塗装設備を手がけています。設計や製造、施工、メンテナンスなどを分業する業者が多い中で、エクセル機工は設計からメンテナンスまで一社でサポートしていることが特徴です。
湿式塗装ブースは乾式に比べて塗料ミストの捕集効率が高いものの、一般的なモデルは奥行きがあり、設置には広いスペースが必要とされます。
本製品はコンパクトな設計により、省スペースでの設置が可能。さらに、湿式方式を採用しているため、塗装使用量が多い環境や連続稼働する現場にも適しています。
高性能な自動車用塗装・乾燥ブースを数多くの板金塗装工場に提供しているオーノ商会。塗装ブースの導入計画から相談にのり、安全性や作業性、効率性を考慮した提案ができます。また修理や保守点検、解体も一貫して対応可能です。
素早い温度上昇と省エネ性能を両立した設計です。50mmの断熱パネル、ステンレス製の高効率熱交換器、そして適切にチューニングされた日精オーバル製バーナーを採用することで、乾燥運転時のみ安全にリサイクルし、素早い温度上昇を実現。これにより、燃料消費の削減と温度ムラの抑制につながります。
また、室内の視認性を向上させるため、明るい照明器具を配置し、後部下部にも標準装備。さらに、巻き上がりを防ぐため、壁際に吸い込み口を設けたオールグリッド仕様を採用し、快適な室内環境を実現しています。
開放感があり、圧迫感を感じずに作業ができるビュー・マックスなどを開発している栗田工業。塗装ブース、換気ダクトを事業の軸として展開しています。
開放感のあるワイドウィンドウを採用した「ビュー・マックス」や、4枚扉で広い開口部を確保した「マックス・コンバート」など、用途に応じたモデルを取り揃えています。
また、コストを抑えた「エコマックス」や、大型車両に対応する塗装乾燥ブース「ジー・マックス」もご提案可能です。さらに、大型車両向けにはリフトの取り付けができ、高所作業にも対応します。
風力機器、熱交換器機の製造からそのキャリアをスタートさせたサンセー工業。熱と風のトータルエンジニアとして、乾燥装置、塗装装置を中心に製造・販売しています。
塗料ミストを水膜で捕集することで、周囲への汚染リスクを低減。乾式ブースと比較して稼働音が抑えられており、音漏れが気になる環境にも適しています。
また、素材はSUSやSS型などから選択でき、塗料の乾燥時間を短縮する乾燥炉の設置にも対応可能です。
製造ラインにおける塗装設備を提供している企業です。ほかにも乾燥・冷却装置、各種ダクト工事のほか、静電植毛装置、樹脂コーティング装置などを手がけています。
水洗ベンチュリーブースは、塗料ミストを水膜に衝突させて捕集し、高い効率を維持する塗装ブースです。水中ダクトを通じて塗料ミストと水が循環するため、フィルターの目詰まりが発生せず、安定した捕集性能を保ちます。
また、連続塗装が可能で、長時間の作業が求められる現場にも適しています。
塗装システム事業というユニークな事業を展開している企業。日系・海外の現地資本の自動車メーカーとの取引が多く、塗装プランとの設計から施工までを手がけています。
ブース内の気流を最適化する低床型塗装ブースを提案しています。洗浄チャンバーの高さを抑え、横型ベンチュリースクラバーの開発により、ブース床下の寸法をコンパクトに設計されています。
大型ブースと同等の除塵性能を維持しながら、省スペース化と省エネを実現。限られた空間を有効に活用できます。
塗装乾燥装置・ロボットシステムの設計から制作までを一貫して手がけています。作業環境・効率に配慮した設備の提案を得意としていて、自動車の内外装、鉄道、航空機、工作機械などの塗装装置の実績があります。
バッフル板にはフィルムコーティングが施され、効率的に配置されているため、優れた慣性分離性能を発揮し、ミストの付着を抑える剥離特性を備えています。さらに、フィルムコーティングを交換することで、手軽にクリーニングが可能です。
また、フィルターは三層の濾過構造を採用しており、バッフル板で捕捉しきれなかった微粒子も効果的に捕集します。
塗装ブースや空調装置をはじめ、乾燥炉・熱処理炉や前処理・電着装置などを手がける企業。塗装設備の企画からアフターサービスまで一貫して請け負うほか、自動車部品の企画設計、生産もしています。
ロボットを導入した塗装ブースでは、塗料ミストの飛散を防ぐため、空気を一方向に流す設計を採用。この気流制御により、被塗物への埃の付着を抑え、塗装品質の向上につなげます。
また、ニーズに応じてロボットの導入や塗装機、塗料供給のインターフェース設計や配置についての相談も可能。さらに、IoT化を活用した問題解決のサポートも行っています。
常に技術革新を続けている企業で、自動車補修塗装乾燥機をはじめ、塗装ブース、自動車の整備・修理工具などを手がけています。
作業性を維持しつつ、塗料ミストを効果的に捕集するため、吹出し気流を活用したプッシュプル型換気装置を採用した塗装ブースです。全体換気とは異なり、周囲への汚染リスクを抑えながら、作業者の安全性を高めます。
また、間接加熱熱風循環方式を採用することで、温度上昇までの時間を短縮し、作業効率の向上にも貢献します。
自動車整備機器のトータルソリューションを提供しています。板金や塗装設備のほか、車検機器やリフト・ガレージ機器、洗車・洗浄機器も製造しており、日本の自動車産業とともに長年歩んできた企業です。
信頼性の高い国産部品を採用したプッシュプル型の塗装・乾燥ブース。四つ折りドアを採用し、広い開口幅を確保しながら圧迫感を軽減。車両の出入りをスムーズにし、作業効率を向上させます。作業員用の扉も組み込まれており、利便性にも配慮されています。
また、給・排気モーターのインバーター制御と熱循環方式を導入し、エネルギー効率を最適化。業界初のカラー液晶タッチパネルと切替スイッチのダブル制御を搭載し、万が一のトラブル時も安定した操作が可能です。水性塗料対応を含む、多彩なオプションにも対応しています。
導入後のランニングコストを抑えることに尽力しながら塗装ブースを開発しています。厳格な生産管理のもと、国内の生産工場で製造を続けており、コストを抑えても品質には妥協しない会社です。
室内は長さ7.2m、幅4m、高さ2.8mとゆとりのある設計で、大型車両にも対応可能。天井フィルターには粘着剤付きの特注品を採用し、一人で簡単に交換できるため、メンテナンスの手間を大幅に削減します。
さらに、LGS-4073-PP-16H・12H・8Hモデルには、トップジェネレータタイプの給気ユニットを標準装備。風量を約半分に抑えることで、ブース内での埃の舞い上がりを防ぎ、作業環境を快適に保ちます。
オーダーメイドでの塗装ブース製造実績が豊富な吉田工業。休日の施工にも対応してくれるなど、サポート面で安心できることが強みです。オーダーメイドは高価だと思われがちですが、オーバースペックにならない適正価格で請け負ってくれます。
高耐久ビニールテントを採用した移動式塗装ブース。コストを抑えながら必要な性能を確保し、予算に応じた導入が可能です。屋外での使用にも対応し、柔軟な運用ができます。
ジャバラテント構造を採用しており、使用しない時はコンパクトに縮めて保管できるため、省スペース化を実現。屋内では伸縮式ダクトを固定ダクトに接続し、屋外では最大まで広げて効率的に活用できます。
オーバースペックにならずコストを抑えて塗装ブースを導入できるよう、ラインナップが豊富だったり、オーダーメイド対応をしている塗装ブースメーカーを厳選。その中から、導入後も満足できるよう、各業界・部品別におすすめの塗装ブースメーカーを紹介します。
■選定基準:2024年2月16日にGoogleにて「塗装ブース メーカー」と検索した際に表示される塗装ブースメーカーを22社調査しました。その中でも、塗装ブースの商品の種類を10種類以上揃えるか、あるいはオーダーメイド生産と公式HP記載されていた会社の中で、下記の基準でピックアップしました。
・パーカーエンジニアリング…公式HP上で、塗装ブースを自動車業界に導入した事例の掲載が最も多い。
・ANDEX…公式HP上で、航空機や鉄道の大型塗装ブースを導入した事例の掲載が最も多い。
・吉田工業…公式HP上で、農機具などの小物の塗装ブースを導入した事例の掲載が最も多い。
※2024年2月編集チーム調べ