塗装ブースは、大別すると乾式塗装ブースと湿式塗装ブースに分かれます。ここでは、余剰塗料の捕集精度が高い湿式塗装ブースについて解説しています。
湿式塗装ブースは、循環水を使って余剰塗料を捕集する設備です。乾式ブースはフィルターで塗料を吸着させるのに対し、湿式ブースは塗料を含んだ排気を水の中に通し、循環水から分離・回収することができます。余剰塗料を捕集する精度が高いため、外に塗料を漏らせない環境で活躍する設備です。
塗料の捕集が安定して行えることが大きなメリット。外部への塗料の飛散がほぼ無いと言えるので、周辺環境への配慮が必要な場合には湿式塗装ブースの捕集精度が必要になります。塗料の使用量が多い場合も、湿式を採用する方がメリットが大きいでしょう、
乾式に比べるとコストが高く、日々の水質管理の手間がかかってしまいます。管理不足で水が汚れると臭いが出ることもデメリットと言えるでしょう。
このサイトでは他にも対応している業界や部品に合わせて、塗装ブースを取り扱う会社を紹介しています。ぜひ導入時に役立ててください。
各業界や部品に対応する
中小工場におすすめな
塗装ブースメーカー3選
湿式塗装ブースの導入に際しては、設備選定だけでなく、現場の安全性や法令遵守を前提とした手順を踏むことが求められます。まずは導入目的を明確にし、作業エリアの寸法や換気環境など、設置条件の確認から始める必要があります。その上で、製造業者や設備業者との協議を通じて仕様を決定し、見積もり取得や納期調整に進むのが一般的な流れです。また、事前に自治体や労働基準監督署への相談を行うことも、安全かつ円滑な設置に役立ちます。
湿式塗装ブースは「有機溶剤作業主任者の配置」や「局所排気装置の設置義務」が伴うため、労働安全衛生規則に基づく申請が必要となります。具体的には、局所排気装置の設置届や有機溶剤使用に関する作業計画書、安全衛生教育計画書などの提出が求められます。加えて、作業環境測定機関に依頼して測定結果を取得し、それに基づいた改善計画書を添付するケースもあります。こうした書類は、法的義務であるだけでなく、現場のリスクを把握し、従業員の安全を確保するためにも重要な役割を果たします。
湿式塗装ブースの運用において、日常的なメンテナンスは欠かせない業務のひとつです。特に重要なのが循環水の管理であり、水中に蓄積する塗料のスラッジ(沈殿物)は、放置するとポンプや配管を詰まらせる原因となります。そのため、スラッジ分離剤や凝集剤を定期的に添加し、ブース内の水質を良好に保つ必要があります。循環水は常にろ過されているとはいえ、時間の経過とともに不純物が濃縮されるため、一定の周期で全交換することが推奨されています。
湿式塗装ブースには、捕集効率を高めるためのフィルターや、換気を担う排気ファンが設けられています。これらの部品が正常に機能していないと、塗料ミストが作業空間に拡散し、作業員の健康を脅かすリスクが高まります。特に、ファンの羽根やモーター部分は塗料が固着しやすく、異音や振動の原因となるため、定期的な清掃とグリスアップが必要です。フィルターについても、目詰まりを起こす前に交換時期を把握し、メンテナンス計画に組み込んでおきましょう。
大手自動車メーカーから板金工場まで、自動車業界での塗装ブースの実績が豊富なパーカーエンジニアリング。乾式・湿式の両方を取り扱っており、またオーダーメイドの塗装ブースを高コストでなく適正価格で提供できるという柔軟な対応力が魅力の会社。アフターメンテナンスやコンサルティングにも対応しています。

ウォーターカーテン用のポンプを必要としないため、同社製塗装ブースで最も安価かつ簡易型のベーシックモデル。そもそもポンプを必要としないため、ポンプや配管に起因するトラブルが起こらず、ミスト除塵率は実験地ではあるものの、99%以上を計測。ZAM材を採用した、対腐食性能の高い塗装ブースを実現しました。
歴史あるメーカーで、スプレーガンを製造したほか、多関節電動塗装ロボットなど、塗装関連機器の開発・製造で高い知名度があると言える会社です。

アネスト岩田製のベンチュリーブース(湿式局所排気装置)です。
排気ファンの力を利用して水を吸い上げ、本体後方の渦巻室で水膜を生成。そこに塗料ミスト(スラッジ)を引き込むことで、効率よく塗料ミストを補修できます。
補修したスラッジは水と共に水中ダクトを通じて正面側に戻るので、メンテナンスの際に回収可能。
全面パネルに流水板を取り付けた「VBW-F」シリーズも展開しています。
塗装ブースの更新の相談にも対応しているエクセル機工。品質の高い塗装を実現するための機械を多数手がけています。設計からメンテナンスまでを一貫してサポートしている企業です。

設置スペースを最小限に抑えたコンパクトな湿式小型塗装ブースです。湿式塗装ブースは、乾式に比べて塗料ミストの捕集効率が高いものの、一般的な製品は奥行きがあり、設置には広いスペースを必要とします。
一方この製品は省スペース設計により、限られた設置場所でも対応可能です。さらに、湿式方式を採用しているため、塗装使用量が多い環境や連続稼働する現場にも適した仕様となっています。
風力機器や熱交換器の設計・製造からスタートしている企業。熱と風を専門に取り扱っており、乾燥装置や塗装装置を主力製品として提供しています。

塗料ミストは水膜によって捕集されるため、周囲への汚染リスクを抑えられます。さらに、乾式ブースに比べて稼働音が小さく、音漏れを気にする環境にも適しています。
本体の素材はSUSやSS型などから選択可能で、塗料の乾燥時間を短縮する乾燥炉の設置にも対応しています。
乾燥・冷却装置やダクト工事、静電植毛装置、樹脂コーティング装置などを製造している昭和塗装機。工場の製造ラインにおける塗装設備を提供しており、塗装ブースも乾式・湿式の両方に対応しています。

水洗ベンチュリーブースは、水膜を利用して塗料ミストを効率よく捕集する塗装ブースです。水中ダクトを通じて塗料ミストと水が循環する構造のため、フィルターの詰まりを防ぎ、常に安定した捕集性能を発揮します。
長時間の作業にも対応できる連続塗装が可能で、大量の塗装を必要とする現場でもスムーズに運用できます。
塗装システム事業という独自性の高い事業を展開している企業です。日系や海外の現地資本の自動車メーカーと取引をしていて、塗装プランの設計から施工までを一貫して請け負うことができます。

地球環境の汚染は、世界的な課題となっています。ブースの排気に含まれる粉じんは、近隣住民への影響に加え、完成車や駐車中の車両への飛散といった問題を引き起こす可能性があります。
また、VOC処理やブース排気のリサイクルを行う際、常に障害となるのが排気中の粉じんです。大気社は水とベンチュリー効果を活用した湿式塗装ブース「S-1型サーキュラー」で、これらの課題に対応しています。
塗装乾燥装置やロボットシステムを設計から制作まで手がける企業です。自動車の内外装や鉄道、航空機、工作機械など、幅広い分野での塗装装置の設計や製作の実績を有するメーカー。作業環境や効率に配慮した設備の提案を得意としています。

安定した排気風量を維持することで、オーバースプレーによる塗料ミストのキャビネット付着を抑え、製品への異物混入を防ぎます。
フィルター交換がいらないのでメンテナンスの負担が軽減され、長時間の使用や大量の塗料を扱う環境にも適しています。さらに、自然発火性の塗料を使用する際の火災リスクも低減でき、安全性の向上につながります。
常に技術革新を続けることを社是としているメーカー。自動車補修塗装乾燥機や塗装ブースを主力商品とし、そのほかにも自動車の整備・修理のための工具も手がけています。

ポンプレスタイプのため、配管周りのトラブルが起こらない塗装ブースです。間口や高さ、電気容量、照明器具にいたるまでバリエーションは様々。
さらに水流板付きやカス取り槽付き、床ピット堀仕様、吸気装置付きなども用意されています。
オーバースペックにならずコストを抑えて塗装ブースを導入できるよう、ラインナップが豊富だったり、オーダーメイド対応をしている塗装ブースメーカーを厳選。その中から、導入後も満足できるよう、各業界・部品別におすすめの塗装ブースメーカーを紹介します。



■選定基準:2024年2月16日にGoogleにて「塗装ブース メーカー」と検索した際に表示される塗装ブースメーカーを22社調査しました。その中でも、塗装ブースの商品の種類を10種類以上揃えるか、あるいはオーダーメイド生産と公式HP記載されていた会社の中で、下記の基準でピックアップしました。
・パーカーエンジニアリング…公式HP上で、塗装ブースを自動車業界に導入した事例の掲載が最も多い。
・ANDEX…公式HP上で、航空機や鉄道の大型塗装ブースを導入した事例の掲載が最も多い。
・吉田工業…公式HP上で、農機具などの小物の塗装ブースを導入した事例の掲載が最も多い。
※2024年2月編集チーム調べ